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漫画『宇宙兄弟』(小山宙哉)

 『宇宙兄弟』は、宇宙飛行士を目指す兄と、既に宇宙飛行士になっている弟を中心に、多くの魅力的なキャラクターが織りなすドラマを描いたマンガで、実写映画化(大ヒットしましたね!せりかさん役が麻生久美子!!)やTVアニメ化もされました。

 "宇宙飛行士"というと特別な存在と身構えてしまいがちですが、そんな彼らが、悩んだり怒ったり笑ったり泣いたりする普通の人間として、生き生きとユーモラスかつリアルに描かれています。
 笑いあり、涙あり、感動あり、熱い展開あり、こころ温まるシーンありと、ドラマ作りにとーーってもに長けた作品。それがクサくならずに、さらりと描かけてしまうところがこの漫画の最大の長所。読み手を選ばず、誰でも必ず楽しめる。それでいて読み手には熱い思いが伝わって来て、つい目頭の熱くなってしまう場面もたくさんなのです。


 現在(2014年4月時点)23巻まで刊行されていて、まだモーニング誌に連載中の長編コミックなのですが、ある物語がひと段落したと思ったら、すぐに魅力的な新キャラクターが登場してワクワクする次の展開に広がっていくので、中だるみもなくスイスイ読めてしまいます。おかげで新巻が出る度に第1巻から全部読み返してしまっているよ。。

 主人公は、ドーハの悲劇の当日に生まれた南波六太。おかげで自分は不運の星の元に生まれた思い込んでいる…わりには急に前向きにもなるお調子者。天然パーマのもじゃもじゃがトレードマーク。幼い頃から弟の日々人と共に宇宙に強い憧れを抱き、宇宙飛行士になることを夢見ていた。が、夢を追い続けられず自動車メーカ勤めをしている。
 対して弟の日々人は、人当たりの良い行動派さわやか青年に育ち、NASAの宇宙飛行士になっている。六太は、弟を導く兄貴になりたいと思っていたのに現実は真逆になってしまっていた。
 そんな六太だったが、あるきっかけにより本格的に宇宙飛行士を目指すことになる。

 ここから様々なドラマが始まる。JAXA宇宙飛行士適正試験での、ライバルであり未来の同僚になるかもしれない人達との競争や友情、月に降り立った日々人に待ち受けている大きな事件、NASAでの新人トレーニングで出会う仲間やヘタレ技師との交流、ハチャメチャな教官とちょっとイイ話、幼い南波兄弟に宇宙の魅力を伝えた天文学者の夢に、六太が憧れている同僚せりかさんの夢、NASAの先輩飛行士たちの胸の奥に隠されていた過去…
 これを一気に読まれせてしまうのだから全く大した力量だと思う。編集者も優秀なんだろうなあ。
 とにかく誰にでもオススメできる一押しマンガです!!



 彼らの少年時代を描いたオリジナル脚本のアニメ映画も制作中らしいですね。そちらも楽しみです。

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アルバム『IRM』(シャルロット・ゲンズブール)

IRM / Charlotte Gainsbourg (2009)

 ご存知セルジュ・ゲンズブールとジェーン・バーキンの愛娘で、近年は女優としての活躍が目立っているシャルロットの2009年のアルバムです。
 彼女の音楽活動としては、13歳の頃に父セルジュの名盤『Love on the Beat』(1984)収録の"Lemon Incest"でセルジュとデュエットしたところから始まり、その後1986年にはやはりセルジュのプロデュースでアルバム『Charlotte For Ever』を発表しています。これは、セルジュが監督・脚本を担当した同名のちょいとアブナイ映画(セルジュとシャルが本人役で出演している近親相関を思わせるストーリー)と併せてのリリースでした。
 その後シャルロットは女優業を優先し、音楽活動からは遠ざかっていました。映画では先程の『シャルロット・フォーエバー』以降はセルジュと絡んでいません(反面、母ジェーン・バーキンとは時々共演しています)が、音楽をやっている限りはセルジュの影が付きまとってしまうことを避けたかったのでしょうか。単に歌手より女優の方が楽しかっただけかもしれませんが、その辺りはよく分かりません。


 父セルジュを1991年に亡くした後、一流女優の地位を確立していた2006年になってシャルロットは突然音楽活動を再開して『5:55』というアルバムを発表しました。この『5:55』は、フランス語での歌がほとんどであるものの、ナイジェル・ゴッドリッチのプロデュース、作詞・作曲にエールやジャーヴィス・コッカー(Pulp)が携わっているなど、フレンチポップの名残を残しつつも現在のオルタナに接近した新感触のアルバムでした。
 その素晴らしい出来を度外視したとしても、高校生の頃に『なまいきシャルロット』で惚れて以来、シャルロットやセルジュ・ゲンズブール周りを追いかけ回していた私にとっては、シャルロットの音楽活動再開はとても嬉しいニュースでした。

 
 今回紹介するアルバムは、その次作となる2009年発表の『IRM』です。シャルロットにとっては3rdアルバムにあたる作品。
 このアルバムのプロデュースはなんとBECK!!収録曲も、ジャン=ピエール・フェルランが1970年に書いた"Le Chat du Café des Artistes"のカバー以外は全てBECKの手によるものです。
 BECKと言えば、デビュー当時からセルジュ・ゲンズブールの大ファンであることを公言しており、セルジュのPVをまねてみたり、ライブにジェーン・バーキンを招いたり、セルジュのトリビュートライブに参加したりという程なので、BECK自身としても、シャルロットをプロデュースするというのは渾身の力を持って臨んだ仕事だったのだと思います。そしてそれはこのアルバムで大成功しています。
 ベック一流の力の抜けたオルタナ感と時代に敏感なセンス、儚げだった昔のシャルロット、母ジェーンのように強い大人の女性に成長した現在のシャルロットの姿が、すべて一体となったようなアルバムに仕上がっています。

[ IRM / Charlotte Gainsbourg ]





 シングル曲の"Tr.5 Heaven Can Wait"は、これまでのBECK関連作の中でもトップクラスの曲だと思います。シャルとBECKが登場するPVも見ものですよ。


 アルバム未収録ですが、この曲を気鋭のビートメーカーNosaj Thingがリミックスしたバージョンも特設サイトからダウンロードできました。彼らしいゆらゆらビートの気持ちいい良MIXです。


 他にも、この夢の共演と言うべきアルバムに収録されている曲は、名前だけの共演作などではなく、見事に二人のセンスが融合された曲ばかりの最高のアルバムです。


アルバム『フィーリン・グルーヴィ』(ハーパーズ・ビザール)

Feelin' Groovy / Harpers Bizarre [Warner, 1967]

 A&M系やバーバンクサウンド、カート・ベッチャー&ゲイリー・アッシャーらの活躍するソフトロック黄金期が幕を開ける1967年に発表されたのハーパーズ・ビザールのデビューアルバム。ビーチ・ボーイズ『ペット・サウンズ』の翌年ですね。
 バーバンクサウンド確立前ということで、綿密なコーラスやオーケストレーションはまだ控えめで、シンプルで可愛らしいナンバーが多いのですが、それ故に返ってハーパーズ・ビザールというグループの魅力を引き出すことに成功しているアルバムだと思います。とは言え、コーラスワークや楽器の使い方には豪華アレンジャー陣の力量が垣間見れらる作品でもあります。

 プロデュースはレニー・ワロンカー。幼馴染のランディ・ニューマンや名コンビとなるヴァン・ダイク・パークスと共にワーナーレーベルでバーバンクサウンドを築き上げ、後年にはワーナーの社長にまで登りつめることになる才人です。
 このアルバムには、作曲・アレンジャーとしてランディ・ニューマン、ヴァン・ダイク・パークス、ペリー・ボトキン、レオン・ラッセルが参加しています。後の超大物ばかりで名前だけで目が眩みそうな布陣。でも当時は彼らはまだ皆、駆け出しの若手だったはず。無名の天才たちが不思議な引力に引き寄せられて集まり、大きな潮流を生み出すというのは音楽に限らず歴史の中で度々起こってきたことですが、まさにソフトロックにおけるそのような奇跡の始まりがここにあります。

[ Feelin' Groovy / Harpers Bizarre ]





 個人的には、このアルバムの中でもレオン・ラッセルの仕事ぶりに目がいきます。彼が作曲に携わった"Tr.9 I Can Hear The Darkness"なんかは、翌年のアルバム『The Secret Life Of Harpers Bizarre』に収録される"The Drifter"などのソフトロックの名曲たちと肩を並べる出来だと思います。同じく彼が作曲した"Tr.4 Raspberry Rug"は、アラブ調(?)のイントロから始まり、ハーパーズ・ビザール流の柔らかなソフトロックへ展開する素敵なナンバー。"Tr.3 Come Love"の巧みなコーラスアレンジも彼の仕業でしょうか。

 ハーパーズ・ビザールは過去の名曲を取り上げて自分たちの音楽に仕立て直すことにも積極的でした。"古き良き"オールディーズ・ナンバーの"Tr.2 Happy Talk"も、彼ららしいチアフルかつふんわりとしたナンバーに生まれ変わっています。サイモン&ガーファンクルのカバー"Tr5. The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)"も自分たちの曲にしてしまっています。
 アルバム最後の"Tr.10 Simon Smith and the Amazing Dancing Bear"も、アラン・プライス(アニマルズ初期メンバー)にランディ・ニューマンが書いた名曲で、他のミュージシャンも多くカバーしています。

"Tr5. The 59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)"

 ボーナストラックとして収録されている"Bye Bye Bye"は、翌年の『The Secret Life Of Harpers Bizarre』にメドレーの一部として収録されている曲のオリジナル版かな。元々何年に書かれた曲か分かりませんが、本盤のバージョンからはブリティッシュ・インヴェンションの影響も感じられ、そういえば時代的に繋がっているんだよなと妙な感慨を覚えたりしました。



アルバム『ただ、それだけ』(チャラン・ポ・ランタン)

 チャラン・ポ・ランタンは当時21歳のアコーディオン奏者小春ちゃんと17歳のボーカルももちゃんからなる姉妹ユニットで、ジャンル的には…歌謡シャンソン狂気童謡ポップ??
 才能とセンス抜群なのに何故かブレイクしきれない!!

 とにかくまずはコレ聴いてくれ絶対好きになるから!
 『ただ、それだけ』に収録の"ムスタファ"


 他にもオフィシャルサイトで幾つかのPVが見れるよ!

 こっちは2012年のミニアルバム『つがいの歯車』に収録されている"空中ブランコのマリー"


 私がチャラン・ポ・ランタンを知ったのは2012年のフジロック、グリーンステージのRadioheadを一旦抜けて観た苗場食堂での彼女たちのライブでした。可愛い楽しい踊れるで苗場食堂は大盛り上がり。彼女たちもRadioheadの裏なのをネタにして、ももちゃんが手作り感満載の段ボール製のラジオを被って現れ、なんと小春ちゃんのアコーディオン+ももちゃんの意外に達者な英語ヴォーカルで"Paranoid Android"をカバーしたのだ!!ネタにしては名カバーで大歓声!!
 私はその後またグリーンに戻って本家Radioheadによる"Paranoid Android"も聴いたのだけど、チャラン・ポ・ランタン版の方が記憶に残っている(笑
 そういえばキノコホテルを知ったのも2012年フジの苗場食堂だったっけ。。

 それにしてもチャラン・ポ・ランタン、デイヴ・ギルモア(ピンク・フロイド)に気に入られたり、アメリカツアーしてたり、フェスにもたくさん出演していたりと大活躍なのにブレイクしない!昨年は"今年こそブレイクしたくて2013"と題した連続ライブも成功させたのにブレイクしない!でもたぶんもう間近だ!!うん、たぶん・・・

[ ただ、それだけ / チャラン・ポ・ランタン ]




[ チャラン・ポ・ランタンの他の作品 ]

アルバム『We Are The 21st Century Ambassadors Of Peace & Magic』(Foxygen)

We Are The 21st Century Ambassadors Of Peace & Magic / Foxygen [Jagjaguwar, 2013]

 昨年(2013年)話題になったインディーポップ盤。
 Foxygen(フォキシゲン)は、2012年にJagjaguwar(Bon Iverで有名になったアメリカのインディーレーベルね)からデビューした、往年のソフトサイケな音楽を最近のIndiePop感覚で鳴らすバンド。と書くとTame ImpalaやAriel Pinkみたいだし、実際近いところあるけど、彼らよりも優しさとチャーミングな印象が強いかな。メロディーラインがきれいで親しみやすい曲ばかり。
 特筆すべきはアルバムとしてのまとまりの良さ。いろんな色の曲が詰め合わせられているけど、どれもキチンとFoxygen色を纏っていて統一感がある。最近、年のせいかアルバム全部通して聴くパワーが湧かないんだけど、このアルバムはシングルカットされた曲以外も聴き心地よく、アルバム全編通して聴いても飽きないし疲れない。

We Are The 21st Century Ambassadors Of Peace & Magic / Foxygen ]





 どんな季節でも、どんな気分でも、どんな自分モードでも聴ける安心の一枚であります。

 1stシングルの"Tr.6 Shuggie"がシュールで愛らしいPVともに一番魅力的。まずはこれを聴いてみて。私も…あの黒い箱が欲しい!

 お次は気怠くも優しげに歌われる"Tr.2 No Destruction"。

 他にも、曲名とは逆に楽しいアルバムの幕開けを予感させる"Tr.1 In The Darkness"、キャッチーな"Tr.4 San Francisco"や、クールな現代版サイケロック"Tr7. Oh Yeah"、アルバムの最後を美しく飾る"Tr.9 Oh No 2"など良曲いっぱいで、2013年のIndieシーンのベストアルバムです。ソフトなインディーポップとしては、Destroyer『Suicide Demo For Kara Walker』(2011)以来のお気に入り盤。


 ちなみに前作『Take The Kids Off Broadway』に収録されている"Tr.2 Make It Known"は、よりサイケロック度高めでかっこいですよ!

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