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映画『世界中がアイ・ラヴ・ユー』(監督・脚本:ウディ・アレン)

Everyone Says I Love You / DIR: Woody Allen [アメリカ, 1996, 102m]

 N.Y.の裕福なある家庭の物語をハッピーに描くロマンティック・コメディ。ミュージカルあり、ダンスあり、くるくると転がる恋愛事情あり、舞台もN.Y.からヴェニス、パリへと巡る、ゴージャスな映画なのだ。

 もうね、可愛らしいドリュー・バリモアとちょっと間抜け表情のエドワード・ノートンのラブラブミュージカルシーンで幕を開けて、通り掛かったイヴ・サン・ローランのマネキン達まで踊り始めたところ、映画冒頭数分のところで、これは超ハッピーで素敵な映画だ!!と確信。前年の同監督作「誘惑のアフロディーテ」が残念な出来だったので尚更、ノリノリで観入ってしまいました。

 ウディ・アレンの映画というと、神経症気味の主人公にシニカルなユーモア、皮肉の効いたドラマといった「インテリジェントな嫌味さ」こそが魅力なのだけど、この映画の場合の「嫌味さ(=魅力)」は、恋愛ドラマをドラマとして見せない、ドラマになる前にもう次の展開に進めてしまうような、ドラマ性の回避にある。であるのに、この愛すべき家族の一年間の恋愛模様は、誰をも魅了するほどドラマチックに映るのだ。
 シニカルなユーモアも全編に渡って散りばめられているけど、それは主役ではない。映画的なシーンをきれいに切り取り、それを少しずらしたり傾けたりしながらペタペタ貼り付けたかのような軽やかさで、まるで映画じたいが踊りだすかのようなテンポで流れていく。キャンディ缶がはじけたかのようにカラフルで、愛らしく動き回り、恋し、失恋し、また恋する登場人物たち。観ている方としては、ついうっとりしてしまう。


 キャストも超豪華。しかも、単に名俳優/女優を集めた訳ではなく、観終わった後で考えてみると、全てのキャストがその人以外にはないだろうと思わせるくらいの適役。

 まず一家を支える父親ボブ役は、TVドラマ版「M*A*S*H」で有名なアラン・アルダ。自分勝手な家族たちをおおらかに見守る温かい父親役。その妻ステフィを演じるのはラヴコメの女王ゴールディ・ホーン。当時51歳にしてあのキュートさといったら美魔女どころの騒ぎではない。ステフィの元亭主(いまでも想いを引きずっている)であり、ステフィの再婚相手ボブと親友でもある売れない作家役ときたら当然のウディ・アレンご本人。これまた当然ながら神経症を患っている。
 ボブとステフィ一家の子供たちは、ドリュー・バリモア、ナタリー・ポートマン、ルーカス・ハース、ナターシャ・リオンと、これでもかという程のキャスティング。更に更に、ウディ・アレンが恋するお相手にジュリア・ロバーツ、ドリュー・バリモアが一時期惹かれてしまう元服役囚役にティム・ロス、そしてドリュー・バリモアの婚約相手としてエドワード・ノートン(この俳優、大好きなのである!)と、目が眩むような名前が並ぶ。

 あっという間の102分。とても温かく幸せな気持ちになれる映画ですよっ!


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