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音楽『Jazz a Saint Germain』(オムニバス)

 40年代の終わりから50年代にかけての、パリのクラブ「サンジェルマン・デ・プレ」。ボリス・ヴィアンやサルトル、ボーヴォワールらがそこで思想や芸術について語り合っていた時代に、パリで流行していたジャズのスタンダード・ナンバーをカバーした97年発表のオムニバス・アルバム。50年代のオールド・ジャズなムードを再現しようとしたものではなく、リリースされた90年代後半のミュージック・シーンに近い感覚でカバーされているため、ジャズ要素は強過ぎずに、葡萄酒の似合うお洒落な雰囲気をたっぷり含んだ作品です。

収録トラックは以下の通り。
  1. Summertime - Angelique Kidjo
  2. Les Joyeux Bouchers - Catherine Ringer & The Renegade Brass Band
  3. Lover Man - China
  4. Watermelon Man - Dee Dee Bridgewater
  5. I'll Be seeing You - Francoise Hardy & Iggy Pop
  6. Il N'y A Plus D'apres - Jazz Passengers With Deborah Harry
  7. La Javanaise - Jacky Terrasson
  8. Black Coffee - Patricia Kaas
  9. God Bless The Child - Princess Erika
 10. Autuor De Minuit - Les Nubians
 11. These Foolish Things - Jane Birkin With Jimmy Rowles
 12. La Caravane - Brigitte Fontaine
 13. Sophisticated Lady - Elli Medeiros
 14. J'suis Snob - Boris Vain

 ブリジット・フォンテーヌや、ジェーン・バーキン、パトリシア・カースにフランソワーズ・アルディ(イギー・ポップのデュエット!)といったフレンチ・ポップの大物から、ディー・ディー・ブリッジウォーターやジャズ・パッセンジャーズらジャズの実力派に、本格デビュー前のレ・ヌビアンまで、何とも色とりどりなミュージシャン揃いなのですが、アルバム全編を通して統一感があるのでとても聴きやすいです。こういう企画物アルバムでは、1、2曲は良曲だけど他の曲の出来が…と、なりがちですが、このアルバムは珍しく捨て曲なしと言っていい程の完成度。ボリス・ヴィアンの歌で終わるのもまた粋な構成です。

 私は、タワレコで格好いいジャケットに一目惚れして視聴後、即買いして毎日のように聴いていました(当時は輸入盤しかなかったのですが、翌年くらいにデジジャケ仕様の国内版も発売されていました)。それから十数年たった今でも良く聴いています。
 特に、1曲目のアンジェリーク・キジョによるSummertimeは冒頭から引き込まれる素晴らしさ。Summertime自体、大好きな曲なので様々なミュージシャンのバージョンを聴いてきましたが、一番好きなのがこのアンジェリーク・キジョのバージョンです。

[Summertime - Angelique Kidjo (youtube) ]

 他にも、Tr.5、2、10、8、11辺りは必聴。元々がスタンダード・ナンバーであるためか、リリースから10年以上たった今でもお洒落さの色褪せない、どの時代でも通用する名盤だと思います。




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