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映画『パリでかくれんぼ』(監督:ジャック・リヴェット)

Haut Bas Fragil / Jacques Rivette (1991)

 ヌーヴェルバーグ時代から活躍しているジャック・リヴェット監督の1991年公開作品。最初は何の面識もない3人の女性が、微妙に交錯したり、すれ違ったりしながら、それぞれの物語が進行していくという構成。その3人を演じるのは、マリアンヌ・ドニクール、ナタリー・リシャール、ロランス・コートといった当時の若手実力派フランス女優たちです。脚本は大まかな筋書きのみで、女優達の即興も交えながら撮影されたとか。

 マリアンヌ・ドニクールは、目元がはっきりした可愛らしい女優で、この作品の前後に『二十歳の死』『魂を救え!』『そして僕は恋をする』のデプレシャン監督3作でも活躍していました。この作品では、事故による5年間の昏睡状態から覚めたばかりで、現実感を取り戻すことが出来ずにさまよう女性を演じています。
 ナタリー・リシャールは、ちょっと個性的で愛嬌のある顔つきの女優で、セドリック・クラピッシュ監督『百貨店大百科』やオリヴィエ・アサヤス監督『イルマ・ヴェップ』でもいい役をしていました。今作で演じるのは、ちょっとワルの入ったバイク便屋さん。
 ロランス・コートはこの中で一番のお気に入り女優。清楚だけど鼻っ柱が強そうな感じがイイ!今作では、真面目な性格の図書館の司書役で、実の母親を探し求めています。彼女が出演している『彼女たちの舞台』『パリのレストラン』『夜の子供たち』もその内このブログで取り上げたいと思います。

 この3人が、穏やかな昼のパリの街並みや、少しノワール掛かった夜のパリを舞台に、各々の想いを抱えながら軽やかに駆け巡っていく素敵な映画です。この映画の魅力はまだまだ他にもあります。幾つかのシーンでは登場人物たちが突然に歌い踊り出すミュージカル仕立ての演出が挟まれたり、ナイトクラブで歌っているのはフレンチムードたっぷりの歌手エンゾ・エンゾ、更にはそのクラブのオーナーとしてアンナ・カリーナまで登場します!!

 大がかりなドラマや事件が起こる訳でもない割に、3時間近くの長めの映画なのですが、途中全くだらけることなく、ラストシーンでのロランス・コートの軽やかなスキップに爽やかな鑑賞後感を覚えます。本当に素敵な映画なので是非ご覧ください。

 個人的にはジャック・リヴェットはヌーヴェルバーグの監督たちの中で一番好きな監督さんです。『美しき諍い女』『嵐が丘』のようなドラマチックな表現や、『王手飛車取り』の計算されつくされたカメラワークなども彼の魅力のひとつですが、私はこの『パリでかくれんぼ』や『セリーヌとジュリーは舟でゆく』、『彼女たちの舞台』のような、のびのびと自由な即興性と実験性を含んだ映画が特に好みなんです。この作品が公開されたのが91年なので、当時リヴェットは63歳。エリック・ロメールにしてもそうですが、ヌーヴェルバーグの監督たちって何歳になっても作品から若々しさ失われないのが凄い…。

 ところでこの主演女優の3人は今はどうしているのかな…。いい女優さんばかりなのに最近の活躍がないのが残念でなりません。

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★関連記事(ヌーヴェルヴァーグ関連)
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